MVPはセルジ・ロベルト。影のMVPに推したいのは…
マドリー戦のMVPに輝いたのは、S・ロベルトだった。前半終了間際にチームを救う同点弾を奪ったことはもちろん、巧みなパスやオフ・ザ・ボールで前線のクオリティーを高め、とくに右ウィングのハフィーニャに気持ちよくプレーをさせているなど、シャビ監督の先発起用にこれでもかと応えていた。MVP選出は妥当な評価と言っていいだろう。
しかし、この試合にはもう1人、そのパフォーマンスに触れておかなければならない人物がいる。それがフレンキー・デ・ヨングだ。S・ロベルトがMVPなら、オランダ人MFは影のMVPである。
デ・ヨングは非凡な技術と推進力、視野の広さを武器にビルドアップを助けただけでなく、ゴール前ではアイデアを発揮し、守備では泥臭い仕事を遂行するなど、ほぼすべての局面で存在感を放っている。80分、ロドリゴに体を寄せられながらも自陣からドリブルで運び、敵陣でガビにパスを預けたプレーは圧巻だった。
デ・ヨングがピッチ内でどれほどの存在感を放っていたかは、スタッツを見れば十分理解できるはずだ。フル出場を果たし、タッチ数100回、パス成功率94%、キーパス5本、ドリブル成功数3回(成功率100%)、タックル数3回(成功率100%)、ボールリカバリー10回、デュエル勝利数9回中8回、インターセプト2回、被ドリブル数0回となっており、ほとんどのデータサイトでMVPに選ばれている。化け物なのか、それとも怪物か。
昨夏のマンチェスター・ユナイテッドの件含め、移籍の噂が絶えないデ・ヨングだが、一貫してバルセロナへの愛を貫いてきた。そしてピッチ内では、これほどのパフォーマンスを約束してくれる。クラブはこの選手を絶対に手放してはならない。
(文:小澤祐作)