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「予測不能な攻撃」こそがアーセナルの強さ。相手を混乱させるメカニズムとは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

アーセナルとクリスタル・パレスにあった差



 アーセナル自慢の攻撃陣を牽引するのがブカヨ・サカとガブリエウ・マルティネッリの両WGだ。クリスタル・パレス戦でもサカが2得点1アシスト、マルティネッリが先制ゴールを決めている。

 一方のクリスタル・パレスにもリーグ屈指のドリブラーであるウィルフレッド・ザハ、そして若きマイケル・オリーゼという2人の強力なウインガーを擁している。彼らの能力も言わずもがな高いのだが、この試合では攻守の両面でアーセナルが大きく上回っていた。

 アーセナルの場合、サイドからの攻撃であっても周りの選手のサポートが欠かせない。右WGのサカの場合は右SBのベン・ホワイトと右インサイドハーフのマルティン・ウーデゴール、左WGのマルティネッリの場合はCFのレアンドロ・トロサールと左インサイドハーフのグラニト・ジャカが近い距離に立ち、コンビネーションで相手守備陣を崩す。

 サポートがあるのは守備時も同様で、ホワイトのようなトップクラスの選手であっても一人でザハを止めることは難しいが、一列前のサカも一緒に対応することで、仮にシュートを打たれたとしてもゴールを決める確率が極めて低い位置からのものに留めている。

 一方のクリスタル・パレスは攻守両面で「個」に頼っている。攻撃に関してはザハやオリーゼの突破力頼みで、SBが前線に上がってサポートすることは稀だ。守備時は両WGに対してのタスクが曖昧なため、SBが相手の複数選手を同時に見ないといけないという場面が多い。

 この攻守における差が今回のロンドンダービーでは顕著だった。

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