アルテタ監督の反省
先述した不運な形での交代枠の消費はあったとはいえ、この試合のアーセナルのパフォーマンスは不安定だった。特に後半は防戦一方の試合展開となり、51%のボール保持率だった前半に対して、後半は43%とボールを保持して主導権を握りたい自分たちのサッカーができなかった。
その要因となったのが“らしくない”パスミスだ。連戦の疲れなのか、普段はミスをあまりすることのない選手のパスがズレることが多かった。後半のパス成功率は79%と85%以上の成功率が当たり前のアーセナルにおいては、あり得ないほど低いスタッツだった。
失点を喫した62分の直前の場面では、中盤でジョルジーニョとジャカがパス交換に失敗。ジャカのパスを奪ったゴンサウベスが、やや前に出ていたアーロン・ラムズデールの隙を見逃さず、およそ45mの位置からのロングシュートをネットに突き刺した。
そのほか、自陣からアーセナルがカウンターを仕掛けようとしたところでの不用意なパスミスも多く、前線の選手が走り出している中、低い位置でのボールロストも目立った。その代表例が49分の場面であり、ここではジャカ、そしてリース・ネルソンが出したパスが立て続けにズレて相手にボールを渡してしまい、ショートカウンターを続けて食らった。
このようなミスはピンチを迎えるだけでなく、相手に流れを明け渡すという意味でもマイナスなプレーだ。試合後にアルテタ監督は「危険なエリアでボールを奪い返すたびに、ボールを手放してしまった。一貫してボールを手放したことで、私たちがやりたくなかったオープンなトランジションゲームとなってしまった」と反省の旨を述べている。
こうしたミスも目立ったことで、ELの優勝候補だったアーセナルは早くもラウンド16で姿を消した。だが、ウーデゴールは「リーグ戦に集中する時期が来た」と早くも切り替えている。
プレミアリーグは残り11試合。仮にELでベスト4以上に進出していた場合、その間のミッドウィークに4試合組まれる可能性が極めて高く、プレミアリーグと並行して高い強度での試合を週2ペースで行う必要があった。
アーセナルは既にFAカップも敗退しているため、残りはプレミアリーグしか残されていない。このELでのショッキングな敗退を引きずらないためにも、ウーデゴールが語る通り、全神経の矛先をリーグ戦に向ける必要があるだろう。
(文:安洋一郎)
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