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日本代表 2年前

初招集・中村敬斗。「走れないし、戦えない」若者がサッカー日本代表に這い上がるまで【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

生き残るために必要な辛抱強さと自己評価


【写真:Getty Images】



 ようやく「確立された場所」を見出した中村敬斗。左サイドでの推進力と打開力、ゴール前での迫力を前面に押し出せるようになり、同シーズンにはUEFAカンファレンスリーグも経験。フィンランドのHJKヘルシンキでプレーする田中亜土夢と直接対決する機会もあったという。

 こうして完全にオーストリアに適応して迎えた今季。彼は大ブレイクし、リーグ戦11ゴール・カップ戦3ゴールの合計14ゴールを叩き出している。

「今の若い選手に共通することかもしれませんけど、『急いでステップアップしたい』という考えが周りを含めて強すぎる傾向があります。『25歳までにビッククラブへ行かないと成功できない』といった危機感が強すぎる成果、辛抱強くポジションを勝ち取ることをしない。そうなると結局、移籍を繰り返すことになりがちです。

 敬斗にもそういう話はしましたけど、今のリンツに行ってからはく辛抱強く同じチームでアプローチを続けることができ、輝きを放つようになった。今季はゴールも重ねていますし、自己評価がしっかりできるようになったのかなと感じます」

 シントトロイデンの立石敬之CEOも中村を前向きに評価していた。22歳になった彼は自分のやるべきことを冷静に客観視できるようになったのだろう。

 それを評価したからこそ、森保監督はA代表招集に踏み切った。オーストリア2部から這い上がった負けじ魂を新たな代表に還元し、チームの起爆剤になってほしいと強く願っているに違いない。

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