「恥ずかしがり屋」渡辺皓太の変化
もう1つの大きな変化は、選手の寄りの画が格段に増えたことだ。選手がドリブルしたり、蹴ったりする映像を減らし、選手の表情やしぐさが見える画を増やした。そこにも大きな意味があるという。
「実際にプレーする画には勝てないなという違和感があった。プレーの強度や迫力は試合の中で見てもらえるので、(映像では)選手の表情が見える画やパーソナルな部分が出る形にしていった」
矢野氏の言葉通り、映像に差し込まれる選手たちの表情は作りこまれたものというよりも、ナチュラルな印象を受けた。
「選手が考えたポーズをしてもらった。それぞれ違ったアクションを楽しめるというのも今年の映像の特徴だと思います。実際僕らからの無茶ぶりも相当あると思うのですが、選手の皆さんがすごく協力的にやってくれるからこそ成り立つ形だと思っています」(小宮氏)
「どういう人に見てもらいたいかを考えていました。ファン・サポーターの方々に楽しんでもらうのはもちろんですが、これからF・マリノスを知るような人にも魅力を伝えたかった。表情やしぐさを全体的に多く出して、選手それぞれの個性を映像の中で出せればなと思いました」(矢野氏)
撮影の裏側を訊くと、水沼宏太や宮市亮といったベテランだけでなく、角田涼太朗や藤田譲瑠チマのように若手でも撮られるのがうまい選手がいるという。渡辺皓太は恥ずかしがることが多いが、「今年はノリノリで、自分でポーズを考えてパンチしてみたり。毎年やっていると変化があって楽しいですね」と矢野氏は言う。
ポーズがうまい選手もいれば、シャイでなかなかうまくできない選手もいる。ただ、それも含めて選手の個性であり、パーソナリティーが映像として見た人へと伝わっていく。