久保建英へのローマの対応
2トップの一角で先発した久保は、前半にポスト直撃のシュートを放っている。ただ、目立ったのはそのシーンくらいで、普段通りの持ち味を発揮できていたとは言い難かった。
もちろんチームが機能不全に陥っていたことも理由だが、そもそもローマの久保への対応は厳しかった。左CB(先発ディエゴ・ジョレンテ、途中からマラシュ・クンブラ)とマッチアップすることが多かったが、基本的には常に2人以上にみられている状態だった。
その左CBのサポートに入っていたのが、他でもないマティッチだ。味方が縦を切れば、自身は中を切って久保のプレー選択肢を狭める。常に高い集中力を保ち、役割を全うしていた。
印象的だったのが50分のシーン。ソシエダが自陣でボールを奪いカウンターに移ると、久保にパスが渡る。その久保は華麗なタッチで前に出てきたクンブラをかわしたが、マティッチが背後からタックルしてボールをカット。ノーファウルで自分たちのボールにしたのである。
この日のローマは、久保とシルバに対してとくに強いプレッシャーをかけており、ファウルをしてでも止めるという気持ちが感じられた。モウリーニョ監督が今のソシエダで何が、そして誰が危険なのか分析し、しっかりと準備してきたのだろう。すべてにおいてローマが上手だった。
(文:小澤祐作)