道半ばの挑戦。「共通認識を見つけていけたらいい」
「局面だけを変えるのではなく、全体を変えないと難しい。そういった意味では、自分たちがボールを怖がらずに握れるところにサポートしていける環境を、自分がもっと作り出さないといけない」
鬼木監督の言葉からも、チームの現状と課題が読み取れる。そして、山根の言葉は、川﨑の現状を表すと同時に、長いスパンで考えていることもうかがえる。
「いろんな対戦相手とやる中で、いろんな守り方をしてくる。1つの戦術だけ戦って、対策されたらできませんじゃ難しい。そこはやっていく中で、こういう相手のときはここが空くという(共通認識)をみんなで見つけていけたらいいと思います」
新たな挑戦は相手の対策を上回るためのものだが、まだ浸透していない現時点ではそれをこなすことが精一杯という印象が強い。それが完全に落とし込めたとき、柔軟で臨機応変な山根のポジショニングを軸に、試合を完全に制圧できる新たな川崎が完成する。
もちろん、新しい試みにチャレンジしながら勝ち続けられれば理想だが、アンジェ・ポステコグルー監督を招聘したマリノスも最初からうまくいったわけではない。7年という長期政権を築く鬼木体制で、マンネリ化せずに強さを維持できているのは、こうしたモデルチェンジがあってこそ。そういう意味で、今年のチャレンジはもう少し長いスパンで見る必要がある。
川崎の挑戦は道半ば。夏が終わり、シーズンが佳境を迎えたころ、新たなチャレンジに対する答えも出ているはずだ。
(取材・文:加藤健一)
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