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マンチェスター・ユナイテッドは勝ち方を知っていた。優勝に導いた絶妙な采配とは【分析コラム】

text by 編集部 photo by Getty Images

後半に際立ったテン・ハフ采配

【写真:Getty Images】


 カゼミーロのゴールで先制したマン・ユナイテッドは、39分にラッシュフォードが相手のオウンゴールを演出する形で2点目を追加。2-0で前半を折り返した。

 そして後半はテン・ハフ采配が見事にハマる。

 ニューカッスルの左WGアラン・サン=マクシマンに対して右SBのディオゴ・ダロトはドリブルで振り切られる場面が多かった。そこでオランダ人指揮官は2点リードという展開だったこともあり、後半開始と同時に攻撃的なキャラクターであるダロトを下げて、守備力に定評のあるアーロン・ワン=ビサカを投入した。

 後半から登場したワン=ビサカは、サン=マクシマンの変則的なドリブルに対してもバランスを崩すことなく最後まで寄せ切ることに成功。ニューカッスルの左サイドからほとんどチャンスを作らせることなく、45分の出場ながらチーム最多の7つのタックルを成功させた。

 テン・ハフ監督の采配が見事だったのはワン=ビサカ投入だけではない。この右SB投入で同サイドからの攻撃を封じたかと思えば、69分にマルセル・ザビッツァーとスコット・マクトミネイという球際に強く、ハードワークできるキャラクターの2選手を投入。これで中央からの攻撃の芽も封じ、彼らがボールを前向きに奪うことでマン・ユナイテッドのカウンターの機会が圧倒的に増えた。

 その後、スコアが動くことはなかったが、“勝利が必然“と思わせる完璧な試合運びでマンチェスター・ユナイテッドが勝利を収めた。「マンチェスター・ユナイテッドで自分たちの歴史を作りたい」と語っていたテン・ハフ監督率いるチームが、タイトル獲得という大きな一歩を踏み出した。

 今季のマンチェスター・ユナイテッドには今回獲得したカラバオ・カップ以外にも、プレミアリーグ、UEFAヨーロッパリーグ(EL)、FAカップの4冠の可能性が残されている。いずれの大会でも強力なライバルがひしめいているが、このクラブにはテン・ハフ監督が語ったように、タイトルの獲り方を知っている選手が揃っている。そして”テン・ハフ采配”は今回のようなリードの局面だけでなく、ビハインド時でも際立っており、『opta』によるとマンチェスター・ユナイテッドが5大リーグで途中出場の選手が最もゴールを決めているクラブだそうだ。

 この2つの要素に加えて、エースがアンストッパブルな存在になりつつある“赤い悪魔”がここから怒涛の勢いで他のタイトルを奪還しても不思議ではない。

(文:安洋一郎)
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