活躍を支える試合中のやり取り
小野瀬と山口監督は、2018年途中から2年半、コーチと選手という立場でガンバ大阪で戦った間柄。山口がヘッドコーチを務めた2020年にガンバは2位となり、小野瀬も主力として活躍していた。
開幕前にはチームに「智さんのいじり方を教えたい」と茶目っ気を見せていたが、「智さんはダメなところも、自分の課題も言ってくれる」と言うように2人は深い信頼関係で結ばれている。
開幕節から試合中のプレーが途切れたタイミングで、2人がピッチ脇で話している姿をよく見かける。「(ピッチの)外からと中からでは見え方が違う。状況共有しながら話している」。こうしたやりとりが、今季の湘南のスタートダッシュに大きく寄与しているのだろう。
「5位以内」を目標に掲げる湘南は、幸先の良いスタートを切った。しかし、チーム内で数少ない「5位以内」を知る小野瀬は課題も感じている。「前半できたことを90分できていれば今日も勝てたんじゃないかと思う」と悔しさをにじませていた。
「前へ出ていく力だったり、プレッシャーというのは強みとして持っている。相手もかなりパワーを持ってやってきた後半は、前半よりもロングボールが増えた中でセカンドボールを拾えなかった。(プレスに)行ききるのか行かないのかをチームで話さなきゃなと」
ガンバを契約満了となり、湘南へ加入した小野瀬は「後がないんで」と言う。まもなく30歳となるこの男にとっても、湘南が上を目指すためにも今季はターニングポイントのシーズンになる。
(取材・文:加藤健一)
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