買収を実現させた女性実業家
サウジ資本ばかりに目が行きがちだが、実際にこの買収劇のシナリオを描いたのは、現在クラブの株式10%を保有するPCPキャピタル・パートナーズの女性実業家アマンダ・ステーブリーだった。
同氏は2017年からニューカッスルの買収に関心を示しており、同年10月に初めてセント・ジェームズ・パークで試合を観戦すると、翌年には単独で入札も行っていたが、この時提示した3億ポンド(当時のレートで約430億円)のオファーはアシュリーによって却下されている。
アブダビ王室のシェイフ・マンスールがマンチェスター・シティを買収した際に仲介人として一枚噛んでいたのがステーブリーで、プライベートでもイラン人と結婚している彼女はイスラム圏との強いパイプを持つことで知られている。プレミアリーグへの進出に興味を示していたサウジPIF、そしてQPRの経営に参画しておりフットボール業界に造詣が深いRBスポーツ&メディアのジェイミー・ルーベン氏と手を組み、2020年春に彼女は再び買収へ向けた動きを活発化させていく。
この共同体がクラブ買収に関して合意に至ったと、大手メディアがこぞって報道したのが2020年4月。あとはリーグ側の承認を待つのみとのリポートが舞い込み、長く続いた暗黒期に終止符が打たれるとの期待からサポーターは歓喜に沸いた。