これが限界? 三笘薫のパフォーマンスが落ちた原因
もう1つの理由は三笘の疲労だった。フラムが縦に速い攻撃を繰り出していたこともあり、三笘はサイドを上下動し続けなければならなかった。70分にスライディングで潰された際は、座り込んだまま両脚を気にするしぐさを見せ、立ち上がる際も唇をかみしめるような表情がカメラに抜かれていた。
三笘が序盤から仕掛けることで、マッチアップするテテが疲弊するかと思われたが、果たして先に疲労の色を見せたのは三笘の方だった。73分にはパスカル・グロスを左サイドバックに回し、再び三笘を張らせる形を作ったが、三笘に仕掛ける体力は残っていなかったように見えた。試合終盤はバックパスも多く、疲労を考慮してか守備に回る際も前線に残っていた。体力的にはこれが限界だったのだろう。
ミッドウィークの試合が少ないとはいえ、三笘は年末からすべての試合に先発し、ほとんどの試合で90分プレーしている。しかし、今や絶対的な信頼を得ている三笘を、得点が必要な場面で下げるという決断は難しい。
ある程度守備のタスクを免除されていれば話は別だが、ブライトンにおける三笘は守備でも重要なタスクを担う。ときに最終ラインの近くまで戻ってボールを奪回したり、中央に絞ってコンパクトな陣形を保っている。プレミアリーグ初挑戦の三笘にとっては、体力的な負荷がプレーに影響していると言わざるを得ないだろう。
特に攻撃面では三笘の代わりはいないだけに、頼りにするのは当然だが、頼りにし過ぎるがゆえに本来の魅力を損なってしまっては本末転倒だ。フラム戦の最低評価は三笘個人の問題ではない。ヨーロッパの大会に出るために、ブライトンにとっては解決すべき課題を抱えている。
(文:加藤健一)