大逆転勝利の中でも露呈した課題
ハーフタイム後の意識の切り替えと、相手の守備陣形の穴を突いた攻撃でアーセナルには多くのチャンスが訪れた。それはシュート数と「シュートチャンスが得点に結びつく指標」であるゴール期待値にハッキリと表れている。
アストン・ヴィラがリードして折り返した前半は2本のシュートに留まり、ゴール期待値も0.10だったが、後半は18ものシュートを放ち、後半のゴール期待値は3.18へと一変している。
その一方で課題も見えた試合だった。中2日だったこともあり、より選手の疲労が色濃く見え、絶好調だった今季前半戦では見られなかった守備時のサボりも見受けられた。その代表例が2失点目の場面であり、ブカヨ・サカとエディ・エンケティアがプレスをかけなかったことでブバカル・カマラにドリブルで運ばれて、得点の起点を作られている。
また、これまではボールロストが目立たなかったオレクサンドル・ジンチェンコも失ってはいけない場面で相手にボールを奪われて失点に絡むなど、スタメン起用し続けた選手たちの”らしくない”ミスが急増している。
3月からはUEFAヨーロッパリーグ(EL)の決勝トーナメントが始まる。仮に勝ち進めば毎週のようにミッドウィークのELと週末のプレミアリーグという日程となる。タイトルを獲得するためには「過密日程」だろうが、ピッチに立つ選手はベストのパフォーマンスを発揮する必要がある。スタメンを完全に固定化しているアルテタ監督だが、選手たちが高いパフォーマンスレベルを維持するためには、もう少し選手を入れ替えながら、スカッド全体で勝てるチームに成長しなければならないだろう。
(文:安洋一郎)
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