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ハーフタイムに何が?アーセナル逆転勝利の理由。アルテタ監督が伝えたこととは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

試合を変えるカギとなった「ハーフタイム」での意見交換


 ハーフタイムの監督からの指示と意見交換でアーセナルは生まれ変わった。

 試合後にミケル・アルテタ監督が「勝ちたいなら、個々のレベルを上げ、互いの顔を見合わせ、もっともっとやらなければならないと、ハーフタイムに選手たちに伝えた」と語れば、決勝点となったオウンゴールを演出したジョルジーニョも「僕らはハーフタイムに話し合って、基本に立ち返ったんだ」と明かしている。

 前線からサイドを圧縮してアグレッシブにプレッシャーをかけてくるハイラインのアストン・ヴィラに対して、アーセナルはその背後を突くサイドチェンジで左右に揺さぶった。その多くが左からビルドアップを始めて、相手がボールに食いついたタイミングで右に展開するものだった。

 直近のアーセナルは左サイドから決定機が作れないという課題を抱えている。それはオレクサンドル・ジンチェンコが偽サイドバックの動きをするため左WGへのサポートが乏しいこと、そしてグラニト・ジャカのプレーエリアが下がっていることが大きく影響している。

 その結果、左WGが孤立することが多いのだが、対照的に右サイドは活性化している。ブカヨ・サカ、マルティン・ウーデゴールの阿吽の呼吸に加え、敗れたエヴァートン戦以降はサカが中に切り込み、大外を右SBのベン・ホワイトが駆け上がる形が完成されている。この3人の連係+ジョルジーニョに対してアストン・ヴィラの守備陣は2人で守ることが多く、右サイドでは常に数的優位を保ってチャンスメイクをすることができていた。これが後半に劇的にチャンス数が増えた要因だ。

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