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マンUの采配勝ち。なぜバルセロナは勝てなかった?裏目に出たシャビ監督の起用【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

止められなかった絶好調な男



 そしてバルセロナにとって最も脅威となったのが、ラッシュフォードだ。

 FIFAワールドカップカタール2022後絶好調な10番は、この日も爆発。50分に一瞬の隙を突いてGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンの牙城を崩すと、59分にはキレキレのドリブルでハフィーニャをかわし、折り返しでクンデのオウンゴールを誘発している。その他にもカウンターからあわやPKといったシーンも作り出しており、止められなかった。

 バルセロナもラッシュフォード対策はしていた。右SBにクンデではなく、より対人守備に強いロナルド・アラウホを置いていたのだ。

 しかし、それを見たエリック・テン・ハグ監督はいきなり動いた。ラッシュフォードは左サイドでスタートしていたのだが、開始5分も立たないうちにCFに移り、ジェイドン・サンチョが左、B・フェルナンデスが右、ヴォウト・ベグホルストがラッシュフォードの一列後ろに移ったのである。

 ユナイテッドは右サイドに移ったB・フェルナンデスをそこまで深い位置には下げさせず、カウンター時にそちら側から行くぞという意図を示していた。アルバが高い位置を取ることでスペースがあるということはもちろん、対人最強のアラウホから避ける意味もあっただろう。実際この狙いは悪くなく、シャビ監督の言葉にもあった通り、B・フェルナンデスとラッシュフォードの2人だけでもカウンターの威力は十分だった。

 テン・ハグ監督はアラウホからラッシュフォードを逃したが、シャビ監督は2失点を喫するまで右からアラウホ、クンデ、マルコス・アロンソ、アルバという最終ラインを動かさなかった。右利き2人+左利き2人なため動かしにくいのは確かだが、ラッシュフォードが中央に移った時点で、攻撃面での貢献度が高いとは言えないアラウホの右SB起用の意味がほぼなくなってしまったのは確か。それが先述したユナイテッドの型にハマった原因でもあるはずで、テン・ハグ監督の采配勝ちと言っていいだろう。

 いずれにしてもバルセロナは厳しい状況に追い込まれた。ペドリ、ガビらが不在になるであろう中でどう次ラウンドへの道を切り拓くのか。シャビ監督の手腕やいかに。

(文:小澤祐作)


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【了】

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