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Jリーグ 2年前

「大学サッカーで成長できるか」は根本的に間違っている。京都サンガ曺貴裁監督「考え方は日本もドイツも同じ」【育成主義3】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

大学で戦術を細かく教えた理由


【写真:Getty Images】



 大学とプロの是非論ではない。偶然に導かれる形で出会った選手たちへ何を与えられるか。指導者の資質や目線の高さ、ある意味では矜恃までもが問われてくる点は大学やプロも変わらない。流通経済大のコーチ時代を振り返れば、曺監督は恩返しの思いも込めて指導に当たっていた。

「プロのカテゴリーから僕が来て、ただ単に『戦え』とか『頑張れ』と言うだけの指導者と思われたら選手たちも興ざめする。そこは当たり前のこととして積み上げてあげないと、選手がプロという上の世界に行きたいという気持ちも出てこないだろう、と。なので、プロ選手に対していたとき以上に戦い方や戦術は指導しました。ミーティングや練習中で相手がこう来たらこうボールを持てとか、こういうところを狙えというのは、ある意味で湘南時代よりも細かくやった気がします」

 実に17年ぶりに関東大学サッカーリーグ戦2部を戦う、流通経済大のコーチに就任したのは2020年3月。指導中の言動の一部がパワーハラスメント行為と認定され、指揮を執って8シーズン目を迎えていた湘南の監督を退任してから、5ヵ月あまりの時間が過ぎていた。

 監督退任とほぼ同時期に日本サッカー協会(JFA)から、Jクラブの監督を務めるために必要な公認S級コーチライセンスの停止処分を1年間にわたって受けた。曺監督をして「目の前が真っ暗になった」と言わしめたどん底で、背中を押してくれたのが直筆の一通の手紙だった。

 ほとんど面識のなかった流通経済大の中野雄二監督がしたためた「再び堂々と胸を張って、Jリーグの舞台に立ってほしい」が、 前へ一歩を踏み出す勇気をくれた。曺監督が言う。

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