京都サンガF.C.の「発電機」とは?
それでも、井上は曺監督の希望を受けて強化部が動き、獲得に至った選手だった。
鹿児島実業から加入したJ3のガイナーレ鳥取で6シーズンにわたってプレー。2021年に岡山へステップアップした井上は、42試合すべてで先発フル出場を果たす。そのなかには京都が勝てばJ1昇格が決まる状況で、スコアレスドローに持ち込まれた第40節も含まれていた。
「あの試合のプレーを見て、最終的に僕が強化部にお願いしたというか。来年昇格してもできなくても、彼のように若くて伸びしろのある選手は必要なんじゃないですか、と」
井上にまつわるエピソードを明かした曺監督は、松田、武田とともに今シーズンから任せたグランドマネージャーという役割が、さらなる成長につながってほしいと言葉を紡いだ。
「下積みの時間が多かったなかで、自分のプレーで勝ち取った初めてのJ1で自分なりに自信を持ったプレーと、まだまだだなというプレーとまさにいま、向き合っているところなので」
もうひとつの「ジェネレーター」とは何なのか。曺監督は「発電機ですよ、発電機」と笑いながら昨シーズンに続いて、特に今シーズンは満場一致で、爆発的な運動量と無尽蔵のスタミナを身長166cm体重63kgの体に搭載する、28歳のDF白井康介に決まったと明かした。
曺監督と白井は浅からぬ縁がある。大阪桐蔭から「浪速のロッベン」の異名とともに、2012年末に曺監督に率いられていた湘南に加入した。しかし、すぐに当時JFLの福島ユナイテッドへ期限付き移籍し、復帰した2014シーズンも1試合、わずか5分の出場にとどまった。