久保建英は2試合連続のMOM選出
久保は3トップの右で先発出場。アルグアシル監督曰く100%の状態ではないようだが、ピッチでのプレーからは全くそれを感じなかった。
23分の先制ゴールは見事の一言に尽きるだろう。コントロールからシュートに至るまでが速く、しっかりとボールも抑えていた。コースも完璧で、GKアルバロ・フェルナンデスからするとノーチャンスだった。
63分にはマジョルカ時代の同僚だったブライアン・オリバンを外し、相手GKとDFの間を狙ったクロスでレアンドロ・カブレラのオウンゴールを誘発している。この直前に、久保はオリバンに対し縦突破を見せていたため、オリバンはそれを意識したか、左足の細かいタッチで中を向いた日本人レフティーへの対応が少し遅れていた。オウンゴールはラッキーだったが、パターン化した仕掛けを見せなかった久保の戦略勝ちとも言えるだろう。
上記のシーン以外でファインプレーをあげるなら、37分のシーンだ。
久保が自陣でボールを拾うと、一度ブライス・メンデスに預け、セルロートを経由して再びボールを受けた。そして相手を引き付けたところでオヤルサバルにパス。最後はセルロートの決定機に繋がった。
自陣でボールを奪った後の動きも巧みだったのだが、最も久保のセンスが発揮されたのはオヤルサバルにパスを出す直前のプレー。セルロートからボールを引き取りちらっと相手を確認すると、DFからボールを離すように左足でコントロールし、オヤルサバルにパスを出した。
ボールを逃したことで、エスパニョールDFの伸ばした足は届いておらず、久保は倒されている。オヤルサバルにパスが通っていなくても、フリーキックでソシエダのチャンスは継続していただろう。その判断を相手が密集している敵陣深く、さらに全体のスピードが上がっている中でできてしまうのが、久保の恐るべき才能である。
その久保はフル出場を果たし、2ゴールに関与しただけでなく、チーム最多4本のシュートとドリブル成功数2回を記録。さらに、タックル成功数も3回をマークと、もはや驚きではないが守備でも高い貢献度を誇った(データは『Who Scored』を参照)。2戦連続MOMは文句なしだろう。
足元のテクニックだけでなく、上記の通り一瞬一瞬の判断力も冴え渡る久保。ブライトンの三笘薫の活躍に盛り上がっているが、スペインに身を置く若きレフティーもまた、止められない存在になりつつある。
(文:小澤祐作)