サンフレッチェ広島
昨季順位:3位
総合評価:B
ミヒャエル・スキッベ監督が就任した昨季はリーグ3位、天皇杯準優勝、YBCルヴァンカップ優勝という素晴らしい結果を残した。真価が問われる2年目は野上結貴や藤井智也といったところが抜けたが、新加入選手は実績だけで見ればやや物足りなさも感じる。
しかし、クラブとしては既存戦力の底上げも計算に入れているはずだ。昨季は川村拓夢や満田誠が活躍したように、今季もブレイクの時を待つ若手がひしめく。期限付き移籍から復帰した松本大弥や怪我からの復活を目指す東俊希も期待したい。
昨季の主力がベースにはなるものの、左サイドのスペシャリスト志知孝明が加入したことで、サイドの人選には変化が生まれそうだ。野津田岳人や松本泰志らがいる中盤も序列は決して固定されていない。最終ラインの枚数も流動的で、それによって人選も変わってくるはずだ。
昨季、2つのカップ戦で決勝に進めたことは、スキッベ監督の求めるスタイルがシーズンが進むにつれてチーム全体に浸透していたことを意味する。指揮官の来日がずれ込んだ昨季と異なり、今季はトルコと宮崎キャンプでじっくりと準備する時間が作れている。開幕から完成度の高いサッカーができれば、川崎フロンターレや横浜F・マリノスとともに優勝争いに食い込むことも十分に可能だ。
セレッソ大阪
昨季順位:5位
総合評価:B
昨季はリーグ戦5位、YBCルヴァンカップ準優勝、天皇杯ベスト8と、目標にわずかに手が届かなかったものの、目指すべきスタイルはチーム全体に浸透している。小菊昭雄監督就任3年目となる今季もそれを継続しつつ、昨季も悩まされた得点力不足を解消できるかがカギになる。
新戦力も「得点力アップ」という狙いが明らかなものとなった。2年連続2ケタ得点のレオ・セアラは最前線で起点となりつつゴールにも期待できるストライカーで、ジョルディ・クルークスは鋭い左足のキックでチャンスを作る右サイドのスペシャリストだ。ジェアン・パトリッキが抜けた左サイドにはカピシャーバが加わり、穴埋めは完了した。
ラストピースとして加わったのは香川真司だ。近年はコンディションがなかなか上がっていなかったが、その実力は周囲の誰もが一番理解しているだろう。昨季の基本布陣は2トップだが、レオ・セアラや加藤陸次樹の背後に香川を置く形も有効になるはずだ。昨年11月に手術を受けたため、万全なコンディションを作れるかどうかがポイントとなりそうだ。
中盤には全国高校サッカー選手権で活躍した阪田澪哉や大迫塁が加わり、最終ラインには昨季は怪我に泣かされた西尾隆矢らも控える。決して層も薄くなく、過密日程もこなせることは、ルヴァンカップ決勝に進んだ昨季が証明している。昨季までの堅守を維持しつつ、香川らが加わった攻撃陣が結果を残せば、昨季叶わなかったリーグ戦3位以内とカップ戦制覇という目標が現実味を帯びてくる。
FC東京
昨季順位:6位
総合評価:B
昨季の主力は残留し、新たな色を加える男たちが加わった。アルベル監督就任2年目の今季は、昨季からの継続と新戦力の融合が必要となる。
J3から5年かけてJ1にたどり着いた苦労人の徳元悠平が加わり、サイドバックは長友佑都ですらレギュラーが保証されない激戦区に。小泉慶が加わった中盤も熾烈な競争が予想される。安部柊斗、東慶悟らとポジションを争うことになり、仮に松木玖生が夏に海外へ飛び立ったとしても大きな戦力ダウンにはならないだろう。
2019年のJリーグMVP仲川輝人が新天地で復活すれば、攻撃陣はさらに破壊力が増す。新外国人ペロッチは未知数だが、アダイウトン、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロのブラジル人トリオが最強カルテットに生まれ変わる可能性もある。
注目は昨季の主力と新加入選手だけではない。昨年すでにデビューしている熊田直紀や東廉太といった昇格組にとってはFIFA U-20ワールドカップを控えるシーズンとなり、虎視眈々と出場機会を狙っているはずだ。
アルベル監督体制で世代交代も進み、充実したスカッドが完成した。横浜F・マリノスや川崎フロンターレにも決して劣らぬ戦力を持っており、期待が膨らむシーズンとなりそうだ。