欧州に対抗するための壮大な構想
「今のサッカー少年や若い選手にとっては欧州でプレーするのが夢だし、それは止められない。現状ではプレミアリーグの分配金が150億円を超えるのに対して、Jリーグの分配金が2~3億円というレベルですから、マーケットの規模が違い過ぎるんです。
ただ、中長期的には他大陸が欧州から人・モノ・カネを奪い取れるようにしなければいけない。Jリーグが欧州5大リーグを上回る、あるいは横並びになれば、全てが欧州に流れるという構図は多少なりとも変えられる。高い目標ではありますけど、そう仕向けていくのも我々の仕事なんです」
語気を強める立石CEOが思い描く野望というのは、ズバリ、「パンパシフィック(環太平洋)構想」。東アジアと北中米を一括りにして、欧州に対抗できる人・モノ・カネの集まる新たな一大市場にしていくことは可能だと彼は考えているという。
「日本サッカー協会が日本代表のワールドカップ予選を地上波でできなくなるという問題がありましたが、根本的な理由としてAFCがワールドカップ予選の包括肖像を自らが販売したことが挙げられる。これまでは日本サッカー協会が独自に放映権を販売して、ここまで大きな組織に成長して来ましたが、この売り上げが激減した訳です。日本サッカー協会もこのままではまずいと思っているはず。これが以前のように各国協会が個別に営業できるように戻らず、現状が続くようだとアジアの枠組みを変えるか、あるいはアジア連盟自体から出なければならないと自分は考えています」
「近い将来、ロシアがAFCに加盟することになると思いますけど、それだけではアジアのレベルは上がらないですよね。今はオーストラリアもAFCに入っているし、どこまでが範囲なのか曖昧なところがある。だとしたら、大陸連盟の組み直しはできるはず。アジアを東西に分けるか、現在行っているE-1選手権の出場国にオーストラリアやニュージーランド、そして東南アジア諸国を東アジアと位置づけ、そのグループと北中米を1つにまとめれば、パンパシフィック連盟ができる。そうなれば、アメリカ、カナダというサッカーに資金を投入できる大国も仲間になるわけです」