川崎フロンターレ
補強評価:D
昨季順位:2位
チョン・ソンリョンが絶対的な存在として君臨するGK陣に、京都サンガで正GKを務めた上福元直人が加わった。AFCチャンピオンズリーグなどをこなす上では重要な戦力となるはずだ。
最大の懸念材料は、谷口彰悟の抜けた穴をどう埋めるかにある。去年は谷口が先発から外れた試合で2敗を喫しているだけに、リーダーシップという意味でも不安は残る。ジェジエウと車屋紳太郎のコンビが有力だが、大南拓磨がどれだけ出場機会を得られるかがポイントとなりそうだ。大南は山根視来がフル稼働していた右サイドバックのローテーション要員としても重要な存在になるだろう。
中盤にはアカデミーから昇格した大関友翔が加わったが、顔ぶれは変わらない。キャプテンに就任した橘田健人、ジョアン・シミッチ、脇坂泰斗ら主力も残留。マルシーニョと家長昭博が不動だったウイングには全国高校サッカー選手権で活躍した名願斗哉が加わった。瀬川祐輔は湘南ベルマーレで露呈した決定力不足が懸念されるところだが、インサイドハーフもこなせる万能性が魅力だ。
前線では、昨季チーム3位の7得点を挙げた知念慶が鹿島アントラーズに移籍した。レアンドロ・ダミアンと小林悠の両ベテランが輝きを取り戻すことができなければ、得点力不足に悩まされる可能性がある。期限付き移籍から復帰した宮代大聖にとっては最大のチャンスでもあり勝負のシーズンとなるはずだ。
上福元、大南、宮代、瀬川と実績のある選手が加わった。しかし、谷口の抜けた穴は大きく、実力未知数の若手も多いため評価は低めだが、名願や山田新らが台頭すれば、優勝を狙うことは十分に可能だ。
川崎フロンターレ 移籍情報2022/23 新加入・昇格・退団・期限付き移籍・現役引退
横浜F・マリノス
補強評価:D
昨季順位:優勝
横浜F・マリノスに加入したのはいずれも25歳以下の将来性のある選手。ネームバリューこそ他クラブの新加入選手に劣るが、かつての藤田譲瑠チマや岩田智輝のように大きく飛躍する可能性も十分にある。
CBと中盤でフル稼働した岩田の抜けた穴は大きい。新たに加わった上島拓巳がマリノスのスタイルにフィットできるかに注目が集まる。エドゥアルドに加え、畠中槙之輔、若い角田涼太朗らも控えており、シーズンを戦い抜く選手層はある。小池龍太、永戸勝也らを中心にバックアッパーも控える陣容に変わりはない。
藤田の契約更新が今月1日に発表されたことでボランチも目途がついた。喜田拓也、渡辺皓太を軸に若い山根陸の台頭にも期待できる。トップ下は昨季まさかの無得点に終わったマルコス・ジュニオールが復活しなければ、西村拓真にかかる負担が大きくなるだけに一抹の不安が残る。
3トップもレギュラーの顔触れは変わらない。水沼宏太、エウベル、アンデルソン・ロペスを中心に、昨夏加入したヤン・マテウスの適応や宮市亮の復活を待ちたい。仲川輝人と2年連続2ケタ得点のレオ・セアラが抜けたのは痛手だが、J2から個人昇格した植中朝日や井上健太に期待がかかる。
昨季の王者・横浜F・マリノスは、新陳代謝を図りながら強さを維持しようとしている。相対的な評価としては低くなるが、中期的な視点に立ってみるとビジョンが垣間見える戦略的な補強と言えるだろう。
横浜F・マリノス 移籍情報2022/23 新加入・昇格・退団・期限付き移籍・現役引退
サガン鳥栖
補強評価:D
昨季順位:11位
例年同様に出入りの激しいオフとなり、就任2年目の川井健太監督にとっては真価が問われるシーズンとなるだろう。ジエゴ、小泉慶といった軸となる選手が抜け、前線では垣田裕暉と宮代大聖が揃って保有元に復帰した。最終ラインでは愛媛FC時代に川井監督の下でプレーした山﨑浩介の加入が大きい。ケニア代表アンソニー・アクムはジエゴに代わる活躍が求められる。ファン・ソッコ、中野伸哉、田代雅也といった既存戦力と合わせれば、駒は揃っていると捉えることも可能だ。
小泉が抜けたボランチにはロアッソ熊本で躍進を支えた河原創が加入した。広い守備範囲は小泉に通じるものがあり、福田晃斗と並ぶことで特徴はさらに生きるはず。2列目には大きな変化はなく、完全移籍に切り替わった岩崎悠人に期待しつつ、残留した西川潤のブレイクを待ちたいところだ。
宮代と垣田が抜けた最前線には富樫敬真と横山歩夢が加わった。富樫は昨季J2で11得点、横山はJ3で11得点と結果を残してJ1に挑む。垣田や宮代も同じルートを辿っただけに、一概に戦力ダウンと決めつけることもできない。異なるタイプを持つ2人がどう鳥栖のサッカーに組み込まれるかは興味深いところだ。
実績だけを見れば低評価とならざるを得ないが、鳥栖のスタイルに合いそうな選手を獲得するという目利きの部分はさすがとも言える。これまでも引き抜かれた主力の穴を埋めてきた歴史があるだけに、この低評価を覆す可能性は決して低くない。
サガン鳥栖 移籍情報2022/23 新加入・昇格・退団・期限付き移籍・現役引退
京都サンガF.C.
補強評価:D
昨季順位:16位
昇格初年度だった昨季は前半戦こそ健闘したが、ピーター・ウタカが調子を落とすとともにチームは得点力不足に陥り、降格ギリギリという結果だった。J1挑戦2年目の今季は主力の移籍も多く、京都の真価が問われるシーズンとなる。
正GKだった上福元直人が抜けたが、エールディビジ通算129試合に出場したヴァルネル・ハーンを獲得した。J2時代に正GKを務めた若原智哉、ニュージーランド代表のマイケル・ウッドもいるため、大きな戦力ダウンにはならないだろう。
センターバックはロアッソ熊本で成長したイヨハ理ヘンリーが期限付き移籍で加わり、競争は激しくなりそうだ。浦和レッズに復帰した荻原拓也が務めていた左サイドバックには曺貴裁監督の湘南ベルマーレ時代の教え子でもある三竿雄斗が加入。タイプとしては異なるが、京都のスタイルに溶け込むのに時間はかからないだろう。
昨季は中盤の層に問題を抱えていたが、平戸太貴が加わったことが大きい。アキレス腱断裂から三沢直人が復帰すれば、武田将平、福岡慎平、川﨑颯太にかかる負担も減るだろう。
前線はウタカと武富孝介が抜け、異なる特徴を持つFWが加わった。パトリック、一美和成、木下康介の新加入3人はボックス内で強さを発揮できるタイプ。彼らが最前線に据えられることでパウリーニョ、松田天馬、豊川雄太と言ったあたりの特徴がさらに引き出されるかもしれない。目立つような大型補強はないが、各所に的確な補強を施した印象だ。一方で、曺監督の湘南時代からの課題でもある得点力の部分が解決されなければ、昨季以上に苦戦する可能性もある。
京都サンガF.C. 移籍情報2022/23 新加入・昇格・退団・期限付き移籍・現役引退