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アーセナルがマンUよりも優れていたのは? 冨安健洋の最低評価は妥当なのか【分析コラム】

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

アーセナルが勝っていたのは…



 この試合に向け、ユナイテッドにはある不安があった。それがカゼミーロの出場停止だ。レアル・マドリードから加入し、今や不動の中盤となった男の不在はアーセナルにとって追い風になると予想されていたのである。

 結果、カゼミーロの不在はスコアに影響を及ぼしたと言わざるを得ない。

 アーセナルのビルドアップにおいて重要な存在だったのがオレクサンドル・ジンチェンコだ。同選手の動きはかなりアクティブで、インサイドに入るだけでなく、反対サイドに顔を出すことまであった。こうなると、さすがに右WGのアントニーも付いてはいけない。自然と中盤に数的優位が生まれていた。

 これによってユナイテッドはボールの奪いどころを定めきれなかった。カゼミーロの代役を任されたスコット・マクトミネイはポジショニングが曖昧で、何度か脇や背後への侵入を許すなど、全くフィルターになれず。マクトミネイの相方を務めたクリスティアン・エリクセンはマルティン・ウーデゴールの対応に精一杯で、サポートには手が回らず。その影響でルーク・ショーがサカとの1対1を強いられ、カットインされるシーンが増えていた。

 一方でアーセナルの中盤は終始強度を落とすことがなかった。テンポの良いパス交換で相手のプレスを剥がすことはもちろん、即時奪回も冴えていた。とくに素晴らしかったのがウーデゴール。攻撃時のアイデア、そして守備での献身性と中盤のクオリティーを引き上げていた。

 プレスをいなされ、ボールもすぐ回収されてしまったユナイテッドは、自然とラインが深くまで下がっていた。これにより、攻撃が前線に残ったラッシュフォード目掛けたカウンターのみと単調なものに。それでも2点を奪う勝負強さは見事だったが、アーセナルのシュート数25本に対し同6本では、難しいものがある。

「中盤を制すものがゲームを制す」。サッカー界でよく耳にする格言であり、アーセナルはまさにこれを体現したと言っていい。たらればは禁物だが、ユナイテッドからすると、どうしてもカゼミーロ不在を嘆きたくなる結果だ。

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