「勝つというのはそんなに甘いもんじゃない」
確かに、近年のキャプテンだった三竿健斗や土居はチーム第一志向が強すぎて自身のパフォーマンスにブレーキがかかる部分があった。それを防ぐ意味でも分業制にするのは悪くない選択。チーム統率役を担う面々がイキイキと躍動あるプレーを率先して示せるようになれば理想的だ。
今季の34人の陣容を見ると、昨季優勝を争った横浜F・マリノスや川崎フロンターレと比較しても見劣りしないと言っていいだろう。
特に大きいのは、昌子と植田の復帰。岩政監督は始動日だった6日のオンライン取材で「伝統的に鹿島には常勝軍団を体現する先輩がいて、自分と照らし合わせて追いつけ追い越せで努力する環境があった。『新しい鹿島を作る』と僕は言っているが、鹿島を知らずしてそれはできない。タイトル獲得経験のある昌子と植田にはその指標になってほしい」と語っていたが、2人はかつて小笠原満男らから学んだものを継承していく大仕事が託されるのだ。
「仲良しこよしでやっていても勝てない。鹿島がここ何年かタイトルが取れていないのは、もしかしたらどっかで甘えがあったり、言い合いがなかったのかもしれない。勝つというのはそんなに甘いもんじゃない。他のJリーグの相手じゃなくて、紅白戦の相手が一番強い時の鹿島が一番強い。そういう雰囲気を作りたい」と昌子も語気を強めたが、ピリピリとした緊張感と競争意識を取り戻すのが、タイトル奪還への第一歩と言えるのではないか。
新体制発表会に先駆けて同日午前中に行われた南葛SCとの今年初の練習試合でも、そういった雰囲気の一端が垣間見えた。