巧みなビルドアップとシンプルなロングボール
もう1つの準決勝では多くのゴールは生まれなかった。63分、同点ゴールを決めた松橋啓太のファーストタッチは絶妙で、至近距離からゴールに流し込んだ。
東山のGK佐藤瑞起は、PK戦でエミ・マルティネス(アルゼンチン代表)のような駆け引きをすることなく、大津のキッカーたちを打ち負かした。最後は松橋が決定的なシュートを決めて、チームを決勝に導いたのだ。
「瑞起さんがセーブしてくれていたので、安心して蹴ることができましたし、とにかくきれいに打とうと思っていました」と、松橋は試合後に語った。
2日後、決勝のキックオフに先立ちペレに黙祷が捧げられた。そして、この90分間、両チームとも積極的にプレーして何かを起こそうとする姿勢を、ブラジルの伝説的プレーヤーも賛同していたことだろう。
前日の全日本大学ラグビー選手権決勝で荒れたピッチで、岡山学芸館はキックオフと同時にボールを前に出し、4人の選手が左サイドを突いてボールを奪い合うという好スタートを切った(後半は東山もこの戦術を真似ている)。両チームとも巧みなビルドアップだけでなく、前線へのシンプルなロングボールを織り交ぜていた。
岡山学芸館は25分、今井拓人のクロスを東山のキャプテン新谷陸斗が自陣のゴール前に蹴り込んでしまう。オウンゴールで失点した東山はナーバスになっていたが、徐々にペースを取り戻していく。