デ・ゼルビ監督の元での活躍は必然?
これで三笘はリーグ戦2試合連続ゴール、同直近5試合で3得点1アシストという成績になった。カタールワールドカップ前までサブだった男が、これほど早く崩しの核になると予想できた人は、そう多くなかったはずだ。
ただ、ロベルト・デ・ゼルビ監督の元での活躍は、ある意味必然だったのかもしれない。同指揮官が過去に率いたチームを見ると、そう言わざるを得ないのだ。
イタリアのペップと称されるデ・ゼルビ監督は、サイドにドリブラータイプを置くことを好んでいる。ビルドアップの基本は、ボールを我慢強く保持し、相手をギリギリのところまで引きつけて動かし、一気に縦へ差し込んでテンポアップするというもの。リスクは大きいが、成功した際の破壊力は当然のことながら凄まじく、とくにサイドの選手は1対1で勝負できる状況を迎えやすい。
エバートン戦での成功例を1つ挙げると、26分のシーンだ。カイセドとCB2枚で相手を釣り出すようにしてボールを保持し、一気に相手アンカーの脇にポジショニングしていたグロスへパス。そこからテンポが上がり、最後は左に張っていた三笘がパターソンとの1対1を制してチャンスに繋げている。
日本代表もブライトンも崩しの局面で三笘を頼りにしている点は共通しているが、それまでの過程には大きな差がある。アタッカーが良い状態で仕掛けられる状況を作る上手さは、圧倒的にデ・ゼルビ監督が上。サッスオーロで左WGのジェレミー・ボガが、シャフタール・ドネツクで左WGのミハイロ・ムドリクがそれぞれブレイクしたのは、デ・ゼルビ監督の指導を受けたからに他ならない。
それを踏まえれば、ボガとムドリクと同じ左サイドを主戦場にする三笘の活躍も必然と言えば必然だ。ただ、彼らと大きく違うのは、三笘は世界最高峰のリーグで戦っているということ。このままいけば、ボガやムドリクよりも大きな飛躍を遂げるかもしれない。
(文:小澤祐作)