今後の課題は?
崩しの局面で誰よりも怖い存在となった三笘だが、もちろん課題がまったくなかったわけではない。内側でボールを持った時の選択肢や判断は、磨いていく必要があるだろう。
9分の場面はその課題が出たと言えるだろう。トップ下の位置でボールを受けた三笘は、相手のプレッシャーがそこまで厳しくないにもかかわらず、雑なフライパスを敵陣深くに蹴り込んでしまった。この時、左サイドでレアンドロ・トロサールがフリーになっていたため、ララーナからは「サイドに展開しろ」と強い指摘を受けた。マーチからパスを貰った際、三笘の視線はまったく動いてなかったため、おそらくサイドに展開するという選択はなかったのだろう。
左SBのエストゥピニャンと三笘は、ともに縦への強みを持っており、使うスペースが同じだ。サウサンプトン戦では良い連係を見せることもあったが、プレーエリアが被り、ビルドアップが窮屈になりかねないシーンもしばしば見受けられた。
エストゥピニャンの力強いオーバーラップは相手を引きつける上で有効だ。ただ、三笘の縦のスペースを潰すことになる。反対にエストゥピニャンがサポートに入れば三笘は縦のスペースを使えるが、1対2の状況を作られる可能性が高い。それでも突破できるだけの力があるが、より上のレベル相手では、さすがに数的不利は難しいだろう。
その問題を解決する意味でも、三笘がインサイドでのプレーに磨きをかける必要がないとは言えない。理想はベルナルド・シウバで、剥がすターンなどができるようになれば、三笘はプレミアリーグでもトップの選手となるだろう。
(文:小澤祐作)