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三笘薫は崩しの核となった。組織の中で活きる個と、ハイレベルがゆえに生まれる課題【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ドリブル、ドリブル、ドリブル…



 左サイドハーフで先発出場を飾った三笘のキレに問題がないことは、開始早々にわかった。3分、同選手はエストゥピニャンからのスルーパスを受けてボックス内に侵入すると、左右両足を使った巧みなボールタッチで対峙したDFをひらりとかわし、単独でシュートまで持ち込んでいる。

 その後も三笘はよくボールに触れ、35分にはチームの2点目にも絡んだ。39分には、味方との連係から左サイドに展開し、最後は折り返しをヘディングシュートに繋げた。
 よりオープンな展開となった後半は、三笘劇場が開演したと言ってもいい。

 57分、59分と立て続けに左サイドに開いた状態でボールを受け、カットインから相手DF陣を脅かすと、61分にはマーチのクロスから際どいヘディングシュートを放つ。そして62分には緩急を生かした縦突破でボックス内に侵入、65分には同じ縦突破で相手2人を置き去りにし、チャンスを作り出してみせた。

 80分にはネイマールを彷彿とさせるようなドリブルを披露。相手の動きを見ながらボールをコントロールし、一瞬の隙を突いて中に切り込むと、カバーに回ってきた2人から逃げるようにドリブルしてボックス内へ。最後はジェレミー・サルミエントにパスを出し、シュートには至らなかったものの、この時間帯になってもなお、キレを失っていないことを証明した。

 ゴールやアシストがなかったのは悔やまれるところだが、両チーム合わせて最多のドリブル突破成功数を収めるなど、崩しの核になっていたのは確か。高い組織力の中で生きる“個”として、強烈なインパクトを残した。

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