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フランス代表はなぜ強かった? バラバラだったチームが準優勝に輝いた理由【W杯コラム前編】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

W杯前の状態は良くなかった



 ほんの5ヶ月前、スタッド・ド・フランスで見たUEFAネーションズリーグのデンマーク代表戦での彼らは、まるでチームになっていなかった。負傷中だったポグバのポジションをオーレリアン・チュアメニが埋めていた以外は、ベンゼマも含め、デシャン監督が本戦に向けて練り上げていた先発メンバーだったが、試合は1-2で逆転負け。しかし酷かったのは結果よりも内容だった。選手同士の連動は皆無。ひとりひとりの個人技の高さは十分に見てとれたが、それがまったく絡み合みあっておらず、集合体としての力などどこにも発揮されていなかった。

 9月の時点でも、デシャン監督は前々から構想を練ってきた3バックを試し、同グループで戦う予定だったデンマーク代表に0-2で敗れた。

 しかし11月9日のメンバー発表時に「3バックは断念した」と表明すると、そこから11月22日のオーストラリア代表戦では実戦で一度も試していない11人を組み合わせた[4-2-3-1]で、4-1という快勝。しかも個人技でもぎとったゴールではなく、お互いのカバーリングや連係もスムーズな、見事なチームプレーでの初戦白星だった。

 わずか2週間たらず、しかも合宿中にもメンバーが入れ替わる状況の中、ここまで完成度を高められたのは驚きだが、選手たちの能力の高さはもちろんのこと、それを適材適所で出させた彼の指導力の賜物だ。

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