日本サッカーは底上げされたのか?
今回の結果を受けて「日本サッカーが…」「日本サッカー協会が…」とつなげてしまうのは非常に危険です。次の大会では日本代表の真価が試されるし、今回の結果で一喜一憂してはいけません。
間違えてはいけないのは、「日本代表」が良かっただけで、手放しで「日本サッカー」が良くなっていると断言できないことです。クロアチア代表戦に先発したJリーガーは、海外で長くやってきた長友佑都と、権田修一、谷口彰悟の3人。日本のオリジナルで育った選手は少ないし、海外で時間をかけステップアップし研ぎ澄まされた選手たちが中心だったというのは強調しなければなりません。
さらに、ここで1つ考えなければいけないのは、ワールドカップでベスト8に行くとどうなるのかということです。海外で活躍する選手たちをベースに戦えば、歴史を塗り替えることはできるかもしれない。それは素晴らしいことですが、ただ、それで日本サッカーの発展につながると言い切れるのでしょうか。
4年に一度の大会は海外で活躍する選手が集結し魅力的ですが、日本サッカー向上の指標軸はJリーグにあるはずです。今のJリーグの選手たちで日本代表のようなサッカーができていたかは懐疑的にならざるを得ません。もし、Jリーグの選手中心に構成されたチームでワールドカップベスト16、ベスト8にいけたのであれば日本サッカーが底上げされたと言えるでしょう。
自国のリーグがスポーツ的に文化的に発展すれば、国内でも地域でもサッカーが溢れて熱狂が生まれる。実際にそういうクラブもあるし、そういうものを日本全国に広げていく草の根活動こそが大切なのではないでしょうか。
(文:河岸貴/構成:加藤健一)
『フットボール批評』ではドイツの最先端理論を知る在独17年を超える河岸貴氏による「現代サッカーの教科書」を連載中。最新号『フットボール批評issue38』では「中盤でのボールを奪うプレー」を解説している。
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