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【写真:Getty Images】
DF:アシュラフ・ハキミ(パリ・サンジェルマン/モロッコ代表)
生年月日:1998年11月4日
今大会成績:7試合0得点1アシスト
今大会が自身2度目のワールドカップとなったアシュラフ・ハキミは、全7試合に先発出場してモロッコ代表をアフリカ勢史上初のベスト4に導いた。
モロッコ代表のスタイルは“堅守速攻”だ。スタメンCBの2人が怪我をした中でも大会を通じて5失点しか喫していない堅い守備を軸に、ボールを奪ってからのスピードと精度抜群のカウンターで相手ゴールを何度も脅かした。ハキミはこの堅守のチームでワールドカップに出場した全選手で最多となる26回のタックルを成功させている。
粘り強い守備でボールを奪ってから持ち味のスピードを活かして一気に駆け上がり、ラストパスやクロスから決定機を演出するなど、DFながら攻撃の起点となり続けた。特に際立ったのがカナダ代表とのグループステージ第3戦でのアシストだ。自陣の低い位置からFWユセフ・エン=ネシリを裏に走らせるピンポイントのフィードを送って見事に得点を演出している。DFでありながら攻撃でも多大な貢献をみせたハキミの活躍なくしてモロッコ代表の躍進はあり得なかっただろう。
DF:ニコラス・オタメンディ(ベンフィカ/アルゼンチン代表)
生年月日:1988年2月12日
今大会成績:7試合0得点1アシスト
フランス代表との決勝戦での痛恨のPK献上はあったものの、今大会を通じてニコラス・オタメンディは安定したパフォーマンスをみせた。
現在34歳とベテランと呼ばれる域の選手だが、持ち味の球際の強さは健在であり、相手FWの自由を奪う“前に出る守備“で相手の起点を潰し続けた。そして前に出ないと判断した場面でも的確なポジショニングでパスやクロス、シュートコースに身体を入れて相手に決定的な仕事をさせない場面が目立った。オーストラリア代表とのグループステージ最終戦では絶妙な落としでリオネル・メッシのゴールをアシストしている。
そして何よりも評価すべきは全7試合でフル出場したことだろう。開幕直後はリサンドロ・マルティネスと負傷明けだったクリスティアン・ロメロが併用されていたが、オタメンディは常にピッチに立ち続けた。このディフェンスリーダーに相応しい振る舞いとプレー面での高い貢献度がなければ、アルゼンチン代表は苦しい戦いを強いられていただろう。
DF:ヨシュコ・グバルディオル(ライプツィヒ/クロアチア代表)
生年月日:2002年1月23日
今大会成績:7試合1得点0アシスト
今大会で最もインパクトを残した若手選手と言っても過言ではない。昨夏のユーロ(欧州選手権)ではデヤン・ロブレンとドマゴイ・ビーダがレギュラーCBで、ヨシュコ・グバルディオルは左SBで出場していたが、今大会を前にCBのポジションを奪っていた。
20歳の若武者はズラトコ・ダリッチ監督のこの決断が正しかったことをピッチで証明した。圧倒的な強さとスピードで相手アタッカーを封殺し、一歩目の出だしとその判断を誤る場面はほとんど見られず。そしてボール保持時のプレス耐性も抜群で、正確なパス捌きで日本代表との決勝トーナメント1回戦では前田大然らのハイプレスを無効化し続けた。
決勝トーナメント1回戦から2試合連続で120分を戦ったことでアルゼンチン代表との準決勝の前には疲労の色が濃く、一時的に別メニューともなったが、結果的に全7試合で先発出場を果たしている。最終戦となったモロッコ代表との3位決定戦では鮮やかなダイビングヘッドで今大会初ゴールを決めて、クロアチア代表を2大会連続の表彰台へと導いている。大会最優秀若手選手賞は優勝したアルゼンチン代表のエンツォ・フェルナンデスに譲ったが、グバルディオルが受賞しても誰も異論を唱えないだろう。
DF:テオ・エルナンデス(ミラン/フランス代表)
生年月日:1997年10月6日
今大会成績:6試合1得点2アシスト
クラブでの大活躍とは対照的にフランス代表とは縁がなく、一時はディディエ・デシャンとの確執も噂されたテオ・エルナンデスだが、昨年9月に代表デビュー。カタールワールドカップが自身初の国際大会出場となった。
テオ・エルネンデスの国際大会デビューは、不幸にも兄リュカ・エルナンデスの負傷によって訪れた。オーストラリア代表との初戦で相手に先制される嫌な展開になったフランス代表だったが、兄に代わって途中出場したテオ・エルナンデスが反撃の狼煙を上げるアドリアン・ラビオの得点をアシスト。そして第2戦デンマーク代表戦でもアシストを記録した。
モロッコ代表との準決勝で代表初ゴールとなるジャンピングボレーを叩き込むなど攻撃面での貢献度の高さは抜群だった。「シュートに繋がったパス」の指標である「キーパス」はアントワーヌ・グリーズマン、リオネル・メッシに次ぐ3位タイの11本であり、同じ左サイドでコンビを組んだキリアン・エムバペとのコンビネーションも絶妙だった。フランス代表の左サイドは相手チームからすると恐怖でしかなかっただろう。