大会方式も変更。問われる強化方針
これまでは「プロに行って試合に出られないなら大学で自分を磨き上げた方がいい」と考える三笘薫のような人材もいたが、大学の方もユニバーシアードからサッカーが除外されるなど、国際舞台がなくなっている。その穴を埋めるために、2023年に延期されたアジア競技大会を大学生中心のチームで戦うことを協会側は検討しているようだが、それもうまくいくかどうか分からない。日本サッカーの20歳前後の選手育成は本当に難しいのだ。
コロナという特殊事情も重なって国際経験不足が顕著のパリ世代。彼らを急成長させる術を、日本サッカー協会としても早急に見出さなければ、4年後の8強という目標達成は難しくなる。コロナで海外遠征を阻まれた世代に集中的に国際経験を積ませるなど、これまでとは異なるアプローチが必要になってくるだろう。
パリ五輪世代のタレントたちをスムーズに伸ばし、東京五輪世代、さらに30代になる遠藤航や浅野拓磨、南野拓実らベテラン勢と融合し、最良のバランスの集団ができてこそ、4年後の成功が見えてくる。
次からは出場国が48に増え、アジア枠が拡大。予選が比較的楽になるのに、本大会のハードルは上がるという困難な環境が生まれる。そこにも適応しながら、日本代表を勝てるチームにする作業は容易ではない。ドイツ代表やスペイン代表を撃破したことで浮かれている余裕はない。高い意識を持って、新たなスタートを切ることが肝要だ。
(取材・文:元川悦子【カタール】)
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