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世界のトップは「遠く感じる」サッカー日本代表が感じたベスト8入りへの課題【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

メンバー選考を難しくした選手層の薄さ



 実際、大会に入ってからも冨安、酒井宏樹、遠藤がケガで別メニュー調整を強いられ、板倉が累積警告でクロアチア戦出場停止というアクシデントが起きた。吉田麻也、谷口彰悟・山根視来もイエローを1枚もらってリーチ状態に陥った。クロアチア代表戦で警告が出なかったからよかったものの、日本代表の守備陣はいつ誰が欠けてもおかしくないほどギリギリの状態に追い込まれたのだ。

 これだけDF陣が手薄だったのだから、瀬古歩夢や佐々木翔、菅原由勢らDFを追加するか、旗手怜央のようなマルチな選手を入れておくべきだったという考え方も根強い。町野が出番なしに終わった分、そういった意見が強まるのも納得できる。

 森保監督がそれをしなかったのは、上記の追加候補者たちが「W杯基準で見て計算できる戦力」という指揮官基準に満たなかったからではないか。欧州5大リーグで実績を積み上げる吉田、板倉、冨安、Jリーグで頭抜けた存在感を示す酒井、谷口らと比べると、瀬古や菅原らが見劣りするのも事実。そこがどうしても引っ掛かったのだろう。

 森保ジャパン発足後、東京五輪世代のDF陣が成長し、A代表の主軸を担える人材が出てきたのは朗報だ。が、その人数はまだまだ限定的。本当に8強以上を常時狙おうと思うなら、板倉、冨安クラスの高さと対人能力を備えた選手が複数はいないと難しい。行きつく先は、やはり「選手層の問題」と言うしかないのだ。

 それはアタッカーについても同様。今大会の日本は堂安律、三笘薫、浅野拓磨の3枚がジョーカーを担ったが、肝心のクロアチア代表戦では久保建英が体調不良で欠場した。堂安が先発に回った途端、切り札の駒不足が一気に健在化した。森保監督が期待を込めて投入した南野拓実が違いを作れなかったのも大きかったが、老獪な前回準優勝国を追い詰めることができなかったのである。

 遠藤もしみじみとこう語っていた。

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