4年後へのリベンジ
「最終予選の時も自分がうまく行っていない時にジョギングの時に寄ってきて話をしてくれたこともあった。チームや周りのことが見えている彼と一緒にやれたのは自分にとってすごく幸せな時間だった。ホントに偉大な人だなと思いました」
長友もかつて中澤佑二や中村俊輔から代表の矜持を学び、15年間それを大事にしてきた。EL制覇、今季のCLでも3ゴールと実績を積み上げる鎌田の才能を買ったからこそ、あえて厳しいことも言ったり、ケンカもしたりしたのだろう。そういう中で鎌田が「自分は代表のエースになる」という自覚を強めたのなら、本当にポジティブなこと。今後の日本代表、日本サッカー界にとってもプラスと言える。
正直言って、カタールW杯の鎌田は物足りない出来だった。特にコスタリカ代表戦はミスが多く、自分自身も「信じられない」と呆然としていたほどだ。それがW杯の難しさ。かつて香川真司も2014年ブラジルW杯で急に走れなくなり、精細を欠いたが、4年後のロシアでリベンジした。背番号15をつける日本代表の新エースもそういう奇跡を歩めばいいのだ。
「僕はそんなにスター性はないので(苦笑)。ホントにサッカーで認められたい。今年1年はホントにファンタスティックだったし、信じられないシーズンを過ごしている。これをどれだけ継続できるかだと思うので、頑張っていきます」
カタールでぶつかった壁を乗り越えた時、彼は欧州ビッグクラブ移籍とW杯8強のけん引役という2つの成功を手にするはず。スケールの大きなアタッカーの4年後の大いなる飛躍を楽しみに待ちたい。
(取材・文:元川悦子【カタール】)
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