長友佑都から受けた影響
2016年のリオデジャネイロ五輪直前に初めてU-23日本代表候補に招集されるまで、鎌田は日の丸とは無縁のキャリアを過ごしてきた。となれば、各年代でエース級だった南野拓実や堂安律とは自ずと意識が違ってくるし、「自分はクラブで結果を出して這い上がるしかない」と考えるのもよく理解できる。
ただ、彼の場合は2019年にA代表に入ってからもずっと意識が変わらなかった。EL制覇直後の今夏も「自分が移籍先を選択するのに半年後にW杯があることは関係ない」といった発言をしていて、「2010年南アフリカW杯に出るために試合に出られる環境に行った」という松井大輔ら先人たちとはずいぶん考え方が違っていた。
松井も「今では欧州移籍のハードルも下がったし、CLを目指したいと考える選手が多いのよく分かる。でも4年に一度、日本中から応援してもらえるW杯はやっぱり特別。自分の人生を賭ける価値がある。それを今の選手も理解できるんじゃないかな」と期待を込めて語っていたほどだ。
その先人の言葉通り、川島や長友佑都、吉田のような「代表のために全てを注いできた先人たち」の一挙手一投足を目の当たりにしたことで、鎌田の心は揺さぶられた。とりわけ、同じ愛媛県出身の長友には多大なる影響を受けたようだ。
「佑都君といると日本人同士って感じじゃなくて、ラテンの選手と一緒にいるような感覚になる。ピッチで言い合ったりもしたし、ケンカもしたけど、それは別にサッカー選手として普通のこと。彼には自分をさらけ出したし、それを受け止めてくれた」