ネイマールはガリンシャからペレに
攻撃から守備へのトランジションも早く、自分のゾーンへ素早く戻って前進を防ぐとともに、前線のプレスバックが速いので挟み込んで奪ってしまう場面が多い。守備の固さは今大会のブラジル代表の特徴である。
リシャルリソンの3点目はいかにもブラジル代表らしい得点だった。頭にボールを乗せてのキープからリシャルリソンが1人をかわして前方のマルキーニョスに預けてボックス内へ走る。
これでDFを引きつけると、マルキーニョスはDFの目線を動かすパスをチアゴ・シルバへ。そして間髪入れず、門になったDFの間へ走ったリシャルリソンへチアゴ・シルバから正確なパスが通ってゴール。相手を圧縮させてから開かせ、間を通すという得意のパスワークで崩し切った。
ブラジル代表の黄金時代を牽引したのはサッカー史上でも最高の天才2人だった。「10番」のペレとウイングのガリンシャである。
ネイマールはかつて「ガリンシャの再来」だった。しかし、今大会は「ペレ」になっている。ハフィーニャ、ヴィニシウス、ガブリエウ・マルティネッリ、アントニーの「ガリンシャ」を継ぐアタッカーを自在に使いながら、攻撃のリズムを作り決定機を演出し自らもゴールを狙う。「10番」には新鋭のロドリゴもいるが、やはりネイマールがいてこそのチームだ。