吉田麻也が振り絞った「明るい材料」
悔やまれるのは、久保建英の体調不良による欠場。彼がドイツ代表・スペイン代表戦にように頭から出られれば、堂安律をジョーカーとして置いておくことができ、後半から延長にかけてもう一段階ギアを上げられただろう。南野の不調も誤算だった。彼にゴールの匂いが感じられる状態だったら、クロアチア代表ももう少し苦しみ、堅守に綻びが生じた可能性もある。
勝ち切れなかった要因を挙げればキリがない。ただ、日本代表が2002年・2010年・2018年に続くベスト16敗退を強いられ、新しい景色を見られなかったという事実だけは変わらない。本当に勝負の世界は空しいものなのである。
キャプテン・吉田麻也は4年5ヶ月前にベルギーに衝撃的逆転負けを喫して以来、いかにして8強の壁を超えるかを真剣に模索してきた。が、3大会続けて悔し涙を流す羽目になったのだ。
「悔しいです。明日もみんなで練習したかったし、少しでも長くこのチームでやりたかったんですけど、しょうがないですね」と34歳のベテランは涙目でこう言うしかなかった。
「ハーフタイムの時点で1-0では足りないと言っていましたし、クロアチアは伝統的に粘り強く戦ってくる。この1年半でほとんど負けていないので、最低でも引き分けに持ってくるチーム。2点目を取れなかったのは痛かったけど、それでも1点で抑えて120分間よく守りきったと思います。
スペイン代表とドイツ代表との死闘とは違って、自分たちがゲームを支配する時間も長く持てて、ただドン引きしてたわけじゃなかった。こういう形を強豪相手にも出せたのは、明るい材料なんじゃないかなと思います」
吉田は前向きにコメントしていたが、それでも結果が出ないのが、W杯の難しさだ。