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ドイツ代表に「国内が嫌悪」「自業自得」。W杯にドイツ国内が盛り上がれない社会的背景とは?

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

ドイツ代表は「自業自得」「ドイツ国内は嫌悪している」


【写真:Getty Images】



「2021年のEURO(欧州選手権)で、ハンガリー代表とミュンヘンで対戦したとき、アリアンツアリーナを虹色にしようと。しかしそれをUEFAが禁止したため、ミュンヘン市長が率先して何とか虹色を掲げようと躍起になりました。同じような政治的話題が先行しました。この試合でマヌエル・ノイアーが虹色のキャプテンマークをつけています。試合前日にノイアーはチームを集めてこの政治的問題をテーマにしたミーティングを行ったことも話題でした。ハンガリーという国が同性愛を認めていないのがその理由なのですが……。結局グループ最下位になった格下ハンガリーに終盤で何とか追いつき2−2でした。他国のことをとやかく言う前に、サッカーに集中してくれとの声が当時も多くありました」

「またドイツ代表のこのような姿勢にはエジル問題やバイエルン・ミュンヘンのスポンサーがカタール航空であることなどダブルスタンダードであるとも。そういった社会的背景もあって非常にドイツ国内は嫌悪している。だから、日本代表に負けたことをドイツ人はカルマ、自業自得だと」

 そういった事情があるとはいえ、実際に大会が始まれば盛り上がることも多い。しかし、カタールW杯はそうではないようだ。

「2か月前からそうだし、日本代表戦があっても、今でさえ変わらない。大手メディアはサッカー的な側面ではなく、そういった論調の発言や報道が続いている。W杯で盛り上がろうものなら、人種差別的なものに賛同しているのかという目で見られる。ドイツ国民の多くはいい加減にしてくれと。サッカーを楽しませてくれと思っているというのがサッカーファンのリアルな反応です」

 ノイアーらを中心とするドイツ代表の行動も、国内では理解を得られていないようだ。サッカーはドイツ国内で絶大な人気があるにもかかわらず、大手を振ってワールドカップに盛り上がることができないのは、非常に残念なことである。

(インタビュイー:河岸貴/文:加藤健一)

【了】

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