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万能だった三笘薫がすべてを変えた。サッカー日本代表が施した微修正とは?【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 西部謙司

万能だった三笘薫がすべてを変えた


【写真:Getty Images】



 三笘がすべてを変えたといっていいかもしれない。1点目のハイプレス、2点目のアシスト、さらに守備面でもそこからの持ち出しも含めて、前半に足りなかったことをすべて補っていた。2点目のアシストは三笘のスピードと遠くのボールに触れる能力がなければ不可能だった。

 リードした日本代表は前田に代えて浅野、さらに調子が出てきた鎌田を引っ込めて冨安健洋を送り出す。冨安は右ウイングバックに入り、そこにいた伊東が左サイドハーフへ移動した。スペイン代表がアンス・ファティとジョルディ・アルバの投入で左からの攻め込みを強化したタイミングでの冨安の投入は相手の出鼻を挫くことになった。

 リードしてからの日本代表は高かったディフェンスラインも徐々に後退し、ペナルティエリアの外に“バスを置く”守り方になる。浅野も引いて5-5-0のようなシステムになっていた。こうなるとカウンターにはならない。少なくとも20分以上もこの状態でしのぐのは厳しいとしか思われなかった。スペイン代表のCBが日本陣内の半分まで進出している形になっていた。

 しかし、GK権田修一の安定したセービングもあって2点目を許さず。難関だったグループを1位通過することができた。相手のラストパスを弾き返し続けた吉田、谷口彰悟。ハイクロスをことごとく無効化した板倉。対人で勝ってゴールの起点となった伊東など、総力戦での勝利だった。

(文:西部謙司)

【了】

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