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万能だった三笘薫がすべてを変えた。サッカー日本代表が施した微修正とは?【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 西部謙司

後半に施した微修正



 勝利を前提にプレーしなければならない日本代表だったが、前半は膠着させることを目的としているような試合運びだった。

 はっきりと5-4-1システムでの守備重視。ただし、ディフェンスラインは高く設定していて、押し込まれたときもコンパクトネスを保った。7分には前田大然がセルヒオ・ブスケツからボールを奪い、伊東のシュートまでつなげた。これは理想的な形だったが、これ以降はスペイン代表からボールを奪うのは困難になっていく。

 12分、ガビのロークロスは弾き返したが、セカンドボールを拾われてアスピリクエタから斜めのハイクロス。板倉滉と伊東の間でフリーになったモラタがヘディングでねじ込む。

 日本代表は高いラインを維持しているので押し込まれっぱなしにはならず、反撃のチャンスもあったがそのたびに微妙なミスで失ってしまう。双方ほとんどミスがないだけに、前田、長友佑都、吉田麻也の小さなミスが目立ってしまう。ハンドボール的な試合になったが、一方的にスペイン代表がボールを保持していて、日本代表はボールを失うのが早く、攻撃ターンが来ない状況になっていた。

 後半あたまから久保建英に代えて堂安、長友に代えて三笘が左ウイングバックにそのまま入る。そして守備を微修正していた。

 前半、プレッシャーがかからない場所が2つあった。CBのどちらか、とくに左CBのパウ・トーレスのところと、右SBと右ウイングの間に下りてくるガビのところだ。左サイドハーフの鎌田大地がガビやCBを牽制するように前へ出ることで、後半からミドルプレスの圧力がかかりはじめ、その流れからの猛攻で逆転に成功する。

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