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スペイン代表は「負けていたかもしれない」。最高峰の一戦で的中した名采配とは?【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

失いかけていたゲルマン魂に火をつけたフリック采配


【写真:Getty Images】



 スペイン代表に先制を許したドイツ代表のハンジ・フリック監督は、70分にレロイ・ザネ、ニクラス・フュルクルク、ルーカス・クロスターマンをピッチへと送り出した。この3枚替えが、失いかけていた選手たちのゲルマン魂に火をつけた。

 怪我で日本代表との初戦を欠場していたザネはスピードとテクニック溢れるドリブルで異彩を放ち、スペイン代表の守備陣を混乱に陥れた。このザネとジャマル・ムシアラのドリブルがスペイン代表の守備陣にボディブローのように効いてきた80分過ぎにドイツ代表の”秘密兵器”が結果を残す。

 フュルクルクはまさにドイツ代表が求めていたタイプのストライカーだった。9月までのハンジ・フリック監督率いるチームには前線に高さがない上に、試合終盤に投入して怖さを与えられる選手がいなかった。こうした状況で、ブンデスリーガで得点を量産していたフュルクルクに声がかかり、ワールドカップという大舞台で初招集を受けたのだった。

 この188cmの大型FWは、ロングボールが蹴られた場面では“高さ“を活かしてスペイン代表DF相手に空中戦で優位に立つなど投入直後から流れを変える”劇薬”として機能し、迎えた83分に豪快な右足のシュートでネットを揺らした。

 この得点でドイツ代表はさらに勢いがついたが、そこはスペイン代表がシャットアウト。流れが目まぐるしく変わったこの一戦は、両監督が流れを変える采配を的中させたことで1-1の引き分けに終わった。

 グループステージ第2節が6グループ終わった時点で決勝トーナメント進出を決めているのはフランス代表のみと、接戦が続く今大会らしい好ゲームとなった。

(文:安洋一郎)

【了】

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