後手を踏み続けたサッカー日本代表と堂安律の反省
右に開いたジョエル・キャンベル(12番)が三笘をかわし、ボランチのセルソ・ボルヘス(5番)がフォロー。その瞬間、右ウイングバックのケイセル・フレール(4番)が右タッチライン際を走って背後を取ろうとした。これは途中出場の伊藤洋輝が頭でクリアしたものの、吉田の右足アウトのボール処理が小さくなった。
守田がコントロールしきれず、イェルツィン・テヘダ(17番)が拾ったボールは前線のフレールへ。彼の左足シュートは見事にゴールを捉え、日本代表は絶対に与えてはいけない1点を献上してしまったのだ。
吉田の中途半端なクリアが直接的な原因と見られがちだが、失点に至る一連の流れを見ても分かる通り、相手の1つ1つのアクションに対して後手を踏み続けていた。その積み重ねが手痛い敗戦という結果になって表れたと言うしかない。
「終盤、薫君がサイドを突破して『俺だったらあそこに入っていきたかったな』というシーンがあったけど、ドイツ戦では全員が迫力を持って中に入っていた。でも今回は体をねじ込んででも入っていく選手が僕含めていなかった」
すでに下がっていた堂安は反省しきりだった。やはり前半の消極的な試合運びがどうしても悔やまれる。泥臭く戦うマインドを今一度、取り戻さなければ、12月1日のスペイン代表との次戦で勝ち点を奪うのは至難の業と言うしかない。
日本代表対コスタリカ代表戦の後に行われたスペイン代表対ドイツ代表戦は1-1のドロー。日本代表はスペイン代表に勝てれば2位以内を確保できるが、引き分けだとドイツ代表がコスタリカ代表に2点差以上で勝利した場合は敗退となってしまう。そう考えると勝ちたいところだが、スペイン代表の高度な技術と戦術眼はドイツ代表を上回る。アルバロ・モラタの決定力も光っている。
彼らを叩くのはドイツ代表よりも難しいかもしれないが、崖っぷちに立たされた今、やるしかない。コスタリカ代表がそうだったように、敗戦から原点回帰を図り、今こそ総合力を結集させて難敵に挑むべきである。
(取材・文:元川悦子【カタール】)
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