楽観的な考えと募る焦燥感
「前半に関しては正直、自分たちは『最低でも勝ち点1』と考えていて、0-0で前半が終わる分には問題ないという話をしていた。コスタリカ代表はコンパクトだったし、不用意に縦パス入れてカウンターをされるのもチームとして嫌だったので」
そういったローリスクの姿勢はまさにドイツ代表戦の終盤とは正反対。チャレンジャー精神を持って泥臭くガムシャラに点を取りに行こうとしていた4日前の日本代表に比べるとどうしても物足りなさが拭えない。そこが見る側にとっては不完全燃焼になってしまうのだ。
森保監督の中では「前半を0-0で折り返しても後半になればゴールをこじ開けられる」という確固たる自信があったのかもしれない。ドイツ代表戦であれだけの逆転劇を見せたのだから、強気になるのも理解できる。実際、ベンチにはドイツ代表戦逆転弾の浅野拓磨、快足ウイング・伊東純也、稀代のドリブラー・三笘薫といったタレントが陣取っている。
長時間守勢に回り続けるコスタリカ代表がペースダウンする目論見もあって、「うまくいけば勝ち点3」という楽観的な見方がどこかにあったのだろう。
指揮官の想定通り、日本代表は後半頭から浅野を投入、62分に三笘、67分に伊東と次々とカードを切っていく。その成果もあり、確かに敵陣に迫っていく回数は増えた。とりわけ伊東が強引に突破を仕掛け、ペナルティエリアギリギリのところで倒された後半25分の場面はPKの可能性もあった。が、わずかに外でマイケル・オリバー主審はFKの判定。それを鎌田が決めきれず、ジリジリとした焦燥感が強まっていった。
「『焦るな焦るな』と言いつつも、結果だけを見ると、相手の間にはまってしまった印象がある。頭の片隅で『早く点取りたい』と焦って仕掛けてしまった部分があったのかと思います」と堂安も伏し目がちに語っていた。
この展開のまま終盤へ。日本代表選手は心身ともに疲労が蓄積し、出足が鈍くなる。後半35分の失点はまさにそんな状況で起きた。