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メッシはずっと圧倒的ではない。アルゼンチン代表がズバリと当てたメキシコ対策【カタールW杯】

シリーズ:コラム text by 西部謙司 photo by Getty Images

メッシはずっと圧倒的だったわけではない



 先制すると、ロメロを投入して3-5-2にシステムを変え、メキシコ代表のシステムと噛み合わせる。ここからは辛抱とカウンターの時間。最後にショートコーナーからメッシを経由してフェルナンデスのゴールへつなげた。

 メッシは1ゴール1アシスト。ただ、試合を通じてスーパーな活躍をしていたわけではない。もちろん随所に高い技術を見せていたが消えている時間もある。試合を通じて圧倒的というほどではないが、アルゼンチン代表の人々が大好きなブラジル代表戦でのマラドーナのように、ワンチャンスをモノにするプレーは圧巻だった。

 メキシコ代表対策の戦術変更がズバリと当たったとはいえ、それも対処療法的で全体に相手を圧倒するほどではない。あまりモダンではなく泥臭い戦い方だ。しかし、これこそアルゼンチンの伝統ともいえるスタイルなのだ。苦闘の末にしぶとく勝利をつかむ。わざと苦労しているはずはないが、どうしてもこうなる。

 ただ、人々と心を1つにできるアルゼンチン代表らしい勝ち方であり、強いのかそうでもないのかよくわからないまま勝ち抜いていく。そういう意味で、チームがしっかりとレールの乗った試合だったかもしれない。

(文:西部謙司)

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【了】

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