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フランス代表を止めるのは不可能なのか? 堅い守備戦術を破壊した方法【カタールW杯】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ほんのわずかな隙が決定打に



 先制ゴールは61分に生まれた。自陣でボールを奪ったオーレリアン・チュアメニからT・エルナンデスにボールが渡りカウンターが発動すると、外に開いたエムバペにパス。そこからT・エルナンデス→再びエムバペと繋がり、カスパー・シュマイケルの壁を破った。

 カウンターだったため、デンマーク代表の守備は人数が足りていなかった。エムバペがボールを持った際にヨアキム・アンデルセン、ラスムス・クリステンセン、そして懸命に戻ってきたミッケル・ダムスゴーアの3人は、揃って背番号10のカットインを警戒していたので、内側を走っていたT・エルナンデスは難なくアンデルセンの背後を取ることができている。わずかな隙だった。

 デンマーク代表は68分にセットプレーからアンドレアス・クリステンセンがゴールネットを揺らし同点に。その後、守備陣形を5-3-2に変更している。しかし、これが失敗。フランス代表に痛いところを突かれた。

 41分、キングスレー・コマンが巧みな動きだしでWBの背後を取り、そこから切り返してサポートに入っていたグリーズマンにパスを出した。少し前までであれば、デンマーク代表はここにシャドーの選手が戻って対応していたのだが、5-3-2にしたことでそのカバーが間に合わない。結果、グリーズマンは余裕を持ってクロスを上げ、見事ファーサイドのエムバペに合わせた。

 いずれもほんのわずかな隙である。フランス代表以外のチームが対戦相手ならば、おそらく気になることはなかっただろう。しかし、その“わずか”を決定的なものにしてしまうのがフランス代表、そしてエムバペだ。もはや戦術だけで解決できるようなことではない。

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