「お前大丈夫か?」から始まった浦和レッズでの1年間
3人目は、この中でもっとも若い、28歳の牲川歩見。U-17から各年代別の代表に選ばれ続けながらも、J1での出場経験はなかった。近年はJ3やJ2で主力として出場機会を得ていたが、今季は浦和に加入。その決め手は、ジョアンのコーチ就任だった。西川と鈴木に次ぐ「第3GK」という見方は強かったが、たとえ出場機会なく今季を終えたとしても、得られるものはそれ以上に大きいと考えたという。
「浦和という大きなクラブで成長したいこともあったけど、ジョアンから学んでみたい気持ちが強かった。ジョアンからは最初『お前大丈夫か?』と言われたが、シーズンの終わりには『すごく成長してくれた』と。もっと学びたいと思っています」
ジョアンも、3選手との時間を語る。
「アキ(林)とは議論ばかりしていたが、トレーニングには最初から取り組んでくれた。トップ選手がすべてを忘れてやり直すことは大きな挑戦だったと思う。日本でメソッドが受け入れられるかのモデルになりました」
「シュウ(西川)の場合はラッキーでした。アキに事前に話しを聞いてくれていたので、私のトレーニングは話をする時間が長く、辛抱強く聞き入れるしかないことをわかっていました(笑)。リカルド監督も、GKトレーニングの時間を十分に与えてくれました」
「ニエ(牲川)を最初に見たときは『これは冗談なのか?』と思いました。しかし正直、1年間でこれだけの成長を見せたのは彼だけです。ニエの努力には感謝したい。細かった体格まで変わりました」