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苦戦連続のオランダ代表は弱者のサッカー。なぜエクアドル代表の餌食となったのか【カタールW杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

オランダ代表の優先順位とファン・ハールの想定



 ここまでのオランダ代表の戦いは、決して優勝候補とは言えない。ただ、肯定的に、好意的に、楽観的に捉えるとするならば、決勝トーナメント、それも準々決勝以降に力を発揮できるチームなのかもしれない。

 ルイ・ファン・ハール監督は、エースのメンフィス・デパイの起用に慎重である。9月のUEFAネーションズリーグで左太ももを負傷した背番号10は、公式戦の出場がないままワールドカップを迎えた。初戦は約30分、そしてこの試合では前日会見で指揮官が明言した通り、45分のプレータイムを与えられた。出場時間の管理は、再発のリスクを最小限に抑えるのと同時に、決勝トーナメントまでを考えたものとも考えられる。

 ゲームの主導権を握れていないが、「弱者」側の振舞いに関しては非常に高いレベルだ。最終ラインのタイトなマンマークディフェンスと、ネガティブ・トランジションにおけるボールホルダーへの素早い寄せは徹底されている。そこまで高い位置で奪おうとせず、ミドルプレスからカウンターに繋げる。

 デンゼル・ダンフリースを右サイドで相手最終ラインと駆け引きさせていたのは、相手の攻撃のストロングポイントであるペルビス・エストゥピニャンを低い位置で留めるためだったのかもしれない。強者側のサッカーをできる人材は揃っているのだが、自分たちの良さを出すのではなく、相手の良さを消すことにプライオリティーがある。

 あまりリスクをかけず、少ない人数で攻め切るのがオランダ代表の狙い。先制ゴールのようにフィニッシュまで持ち込めれば理想だ。これは、強豪国同士の対戦となる準々決勝以降を見据えたものと解釈することもできる。

 実際、セネガル代表、エクアドル代表のプレス強度は、今大会全体の中でも高い方だろう。そういった相手に苦戦しながら、2試合で勝ち点4を得ている。第3戦は開催国カタール代表。これまでの相手よりは数段力が落ちるはずで、グループリーグ突破の可能性は高い。ここまでの苦戦も、百戦錬磨のファン・ハール監督にとっては想定の範囲内なのかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

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