エクアドル代表の思う壺
最終ラインから組み立てようとする割に、まったくと言っていいほど繋げない。そして、この試合の3バックは右からユリエン・ティンバー、フィルジル・ファン・ダイク、ナタン・アケという並び。配球力や持ち運ぶ能力に優れた3人であるはずだが、各駅停車のパス回しが続いた。
フレンキー・デ・ヨングが引き取りに来ても、相手の中盤がマンマークで対応しているので前を向けなかった。弧を描くようにボールを回しているだけ。どんなにうまい選手でも、組織としての形が落とし込まれていなければ苦戦するのは必然だった。
各駅停車のパス回しは、トランジションを得意とするエクアドル代表の思う壺だった。3トップがウイングバックへのパスコースを切りつつ3バックへアプローチし、降りてくるMFに対しては中盤がマンマークで対応していた。オランダ代表は右ウイングバックのデンゼル・ダンフリースを高い位置に上げて4枚回しを試みるが、それもすぐに対応されてしまう。
そして、後半開始間もない49分、オランダ代表は同点に追いつかれてしまった。
ファン・ダイクからのバックパスを受けたGKノペルトに、ペルビス・エストゥピニャンが寄せる。なんとかこれはつないだが、デ・ヨングのパスを受けたティンバーがボールを奪われてしまった。この状況でゴール前は4対5と数的不利に。マイケル・エストラーダのシュートはノペルトが弾いたが、こぼれたところをエネル・バレンシアが詰めていた。
他にもビルドアップの出口を見つけられずに中盤で奪われたシーンはあるが、基本的にはデ・ヨングと3バックがボールホルダーに寄せて時間を作り、ブロックを築く時間を稼いでいた。しかし、直前のプレーの影響もあり、このシーンではオランダ代表の陣形が崩れていた。そこでエストゥピニャンがGKにプレスをかけて蹴り出させ、オランダ陣内にカオスの状況を作り出した。プレッシングと速攻を得意とするエクアドル代表の思う壺となっていた。