基本フォーメーション
アジア予選はポゼッション主体の攻撃的なスタイルで突破したが、ワールドカップ本大会ではより現実的な戦い方にシフトしていきそうだ。グループ内での力関係を考えれば、欧州や南米の強豪相手に厳しい戦いが予想される。
近年のサウジアラビア代表は4-1-4-1をベースに戦い、ショートパスを丁寧につなぐスタイルを構築してきた。ただ、高いボール支配率にチャンスの数が比例せず、ゴール前でのフィニッシュに課題を抱えてきた。
こうした事情も踏まえると、ワールドカップではコンパクトなブロックを築いて相手の攻撃に耐えつつ、カウンターでゴールを狙う形が増えるはずだ。もちろんボールを大事にして攻めることも忘れないが、欧米の強豪相手に激しいプレスを速攻でひっくり返す方が合理的だと考えるのではなかろうか。
前線にはスピードのあるフィラス・アル・ブライカンやサレム・アル・ドサリといったアタッカーがおり、味方がボールを奪った瞬間に彼らがゴールへ向かって走り出す。そして相手ディフェンスラインの背後へ抜け出し、一気にクロスやシュートまで持ち込めればビッグチャンスが生まれる。中盤にはサルマン・アル・ファラジというアジア屈指のパサーがおり、彼の繰り出すスルーパスからも数多くのチャンスが作り出されてきた。
サウジアラビア代表は世界的に見ても実力を過小評価されがちなチームと言える。今大会に出場する全員が国内組で、欧州や南米の基準で実力を測られたことのない選手ばかりなのが、評価が定まりにくい理由だ。
タレントは決して小粒ではなく、各ポジションにキャラの立った実力者が揃っている。そして、アル・ヒラルやアル・ナスル、アル・シャバーブという一部のビッグクラブに所属する選手がチームの約8割を占めており、代表チームながらクラブチームのような連携の完成度を誇る。
全員が国内組というメリットを生かし、ワールドカップ前には10月中旬から合宿を開始。他国よりも多くのテストマッチも行い、万全の準備を整えている。サッカー日本代表とアジア最終予選でグループ首位を争った中東屈指の強国がワールドカップの舞台でどんな戦いを見せるか注目だ。