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フランス代表の攻撃力は理不尽。ポグバ不在で輝いた変幻自在な司令塔とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

組織を叩き続けた個の勝利



 オーストラリア代表の守備がまったく機能していなかったわけではない。4-5-1のブロックを敷き、それぞれのラインをコンパクトに保ちながら、粘り強く戦うことはできていた。しかし、ほぼ全員がビッグクラブに所属しているフランス代表との差は、そう簡単に縮められるものではなかった。

 フランス代表が何か特別な策を用意してきたわけではない。ただオーストラリア代表の組織を崩壊させる術は、個の能力で十分だったのだ。

 中盤でラビオとオーレリアン・チュアメニが正確にパスを捌き、サイドのエムバペとウスマン・デンベレがスピードを生かして再三ドリブルを仕掛け、深さを作る。弾かれてもすぐに回収し、またサイドに展開して仕掛ける。フランス代表はこれを繰り返し、オーストラリア代表の守備を左右に揺さぶった。

 オーストラリア代表からするとたまったものではない。エムバペとデンベレの対応で精一杯なのに、そこに超攻撃的サイドバックのT・エルナンデスも絡んでくる。圧倒的な個を持つフランス代表の攻撃力はあまりに理不尽だった。

 3点目はとくにそうだ。エムバペとT・エルナンデスで左サイドを破りグリーズマンの決定機に繋げると、クリアされたボールを拾って繋ぎ、再び左サイドに展開。今度はエムバペが深さを取りクロスを上げると、ファーサイドにこぼれたボールをデンベレが拾って正確なクロスを送る。これをエムバペが頭で合わせるなど、いとも簡単にオーストラリア代表のブロックを翻弄していた。

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