これがオランダ代表の戦い方
オランダ代表は79分、ステーフェン・ベルフワインとステーフェン・ベルハイスを下げ、デイヴィ・クラーセンとトゥーン・コープマイネルスが入る。コーディ・ガクポがトップ下から2トップの一角に移動している。3-4-1-2から3-1-4-2と中盤の位置関係が変化した。
フレンキー・デ・ヨングが左サイドからインスイングのクロスを入れると、GKの前に飛び込んだガクポが頭で合わせた。オランダ代表に待望の先制点が生まれた瞬間だった。
シンプルなクロスは前半からいくつかチャンスになっていた。データサイト『WhoScored.com』によれば、コーナーキックも含めて4本のクロスがヘディングシュートにつながっている。先制シーンではボックス内に4人の選手が入っていた。選手交代によりクラーセンとデ・ヨングが高い位置を取れたことも大きかった。
ディフェンスラインをそこまで高く設定せず、攻撃にあまり人数をかけない。試合をこう着状態に持ち込み、疲労が出てくる後半戦にペースを上げるのがこの日のオランダ代表のプランだった。最大7連戦となる長丁場を見据えた合理的な戦い方だった。
アリエン・ロッベン、ウェスレイ・スナイデル、ロビン・ファン・ペルシーの3人で攻撃を完結できた8年前ほどの攻撃陣ではないが、CBを中心とする守備は8年前よりも数段堅い。老将ファン・ハールは「柔よく剛を制す」戦い方でオランダ代表を高みへと連れ戻そうとしている。
(文:加藤健一)
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