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【写真:Getty Images】
2018年のロシアワールドカップでのベスト4進出という成功から約4年半、ガレス・サウスゲート監督のスタイルに大きな変更はない。昨夏のユーロ(欧州選手権)では準決勝で初めて失点を喫するなど「守備」がベースにあり、大崩れしにくい堅いチーム作りを行ってきた。
ところが直近はミス絡みもあって大量失点をすることも少なくなく、今年行われた8試合で11失点を喫している。攻撃の戦術は完全に個人の能力任せであり、高いクオリティの選手たちに依存をしている。サウスゲート監督のタイプ的にも選手を入れ替えることでしか攻撃のスタイルを変更できないため、大量得点は考えにくい状況にある。そのため守備の立て直しは急務だ。
特に6月以降のパフォーマンスは散々であり、UEFAネーションズリーグでは全6試合で3分3敗のダントツ最下位でリーグBへの降格が決まった。この悪い流れを払拭すべく、本大会にはジェームズ・マディソンやカラム・ウィルソンら、これまで招集をされてこなかった選手たちを選出し、新しい風を吹かせようとしている。
システムは4バックと3バックの併用で、エリック・ダイアーを復帰させた今年の6月以降は3バックがベースとなっている。
GKにはジョーダン・ピックフォードがスタメンに選出されるだろう。ムラのあるタイプの選手なため、意見は賛否わかれるが、それでも監督と培ってきた信頼関係は絶大であり、昨季終盤からは絶好調を維持している。他のGKのパフォーマンスが飛び切り良いわけではないため、彼のスタメンは当確だろう。
3バックはハリー・マグワイア、ダイアー、ジョン・ストーンズの3枚が当確だろう。コンディションさえ良好だったらカイル・ウォーカーが右CBで起用される可能性もあるが、股関節の手術明けで一度も実践で戦わないままワールドカップに行くことが決定している。チームで定位置を失っているマグワイアを起用することに対しても賛否の意見があるだろうが、サウスゲート監督の中では信頼が揺らいでいないようだ。
両ウイングバックにはキーラン・トリッピアーとルーク・ショーが起用されると予想する。本来右ウイングバックの一番手はリース・ジェームズだったが、怪我の影響でワールドカップに間に合わなかった。代役は前回大会で右ウイングバックとして躍動したトリッピアーが濃厚だ。左はルーク・ショーとブカヨ・サカの争いになるが、サカは前線でのオプションとして取っておきたいところだろう。
ダブルボランチにはデクラン・ライスとジュード・ベリンガムの2選手が入るだろう。両選手は6月以降から多くの試合でコンビを組んでいる。他のポジションが不安定な中、彼ら2人だけは継続して良いパフォーマンスをみせてきた。
最も熾烈なポジション争いとなるのがツーシャドーだ。メイソン・マウント、ラヒーム・スターリング、マーカス・ラッシュフォード、サカ、フィル・フォーデン、ジャック・グリーリッシュ、ジェームズ・マディソンらでこのポジションを争う。直近の傾向だとフォーデンとスターリングが先発に選ばれそうだが、後者は好調とは言えず、サカやマウントらがスタメンに抜擢されてもおかしくはない。
そして最前線には不動のエース、ハリー・ケインが入る。気がかりなのが試合終盤のパワープレー要員が前戦におらず、先日のマンチェスター・ユナイテッドのように土壇場ではマグワイアを前線に上げることを考えているかもしれない。